【相続登記について】相続登記を司法書士に依頼すべき場合
◆ 相続登記を司法書士に依頼すべきケース
1. 仕事などで平日の日中に時間がとれない
相続登記を申請する法務局の開庁時間は平日8時30分から17時15分までです。仕事などをしている場合、自分で相続登記を行うには、平日の日中にある程度まとまった時間がとれないと難しいかもしれません。「自分でやるつもりで準備していたけれど、平日に時間がとれず気がついたら1年以上も経ってしまった」と依頼に来る方も少なくありません。
2. 相続した不動産をすぐに売却したい(担保に入れたい)
相続した不動産を売却して代金を相続人間で分配する場合や相続税の納税資金を金融機関から借りる場合は、できるだけ速やかに相続登記を行うべきです。売却時には買主への所有権移転登記、借入時には抵当権など担保権設定登記を行いますが、いずれも前提として相続登記が必要だからです。相続登記が遅れるとあとの売却や借入れにも大きく影響しますので、司法書士に依頼してスムーズに進めたほうがよいでしょう。
3. 相続した不動産が複数ある
亡くなった人が自宅以外に賃貸マンションや駐車場、山林、田畑など複数の不動産を所有していた場合も注意が必要です。不動産の所在地が散らばっていて管轄する法務局が分かれる場合には、物件ごとに別々の法務局に申請する必要があります。不動産の数が多いと登記漏れを起こす可能性も高くなりますので、司法書士に依頼するほうが確実で安心でしょう。
4. 音信不通の相続人がいる
音信不通の相続人がいる場合には、不動産を引き継ぐ人を決める遺産分割協議ができません。遺産分割協議は相続人全員で行わなければならず、一人でも欠けた場合には無効になってしまうからです。
このような場合には、不在者財産管理人の選任手続きが必要になります。家庭裁判所で音信不通の相続人(=不在者)の財産管理人を選任してもらい、その財産管理人が遺産分割協議に参加します。司法書士は家庭裁判所に提出する不在者財産管理人選任申立書の作成も業務として行うことができます。
5. 未成年の相続人がいる
未成年の相続人がいる場合には、遺産分割協議を行う前提として特別代理人を選任する必要があります。たとえば、自宅の所有者である夫が死亡し、妻と15歳の子どもが相続人だった場合、妻が単独で自宅を引き継ぐには、相続人である妻と子の間で遺産分割協議を行うことになります。
この場合に、親権者である妻と未成年の子の間で遺産分割協議を行うことは利益相反取引(親が得をすると子が損となり、子が得をすると親が損になる取引)に該当します。そのため、親権者に代わる特別代理人を家庭裁判所で選任してもらい、妻と特別代理人の間で遺産分割協議を行う必要があるのです。特別代理人の選任を行う場合の申立書作成も司法書士の業務の一つです。
6. 相続人に疎遠な人がいる
亡くなった人に前妻(夫)との間の子がいる場合や遠縁の親族が相続人になる場合など、ほとんど面識のない相続人同士が連絡を取り合い、相続登記を行うのは非常に負担が大きい作業です。このような場合に中立的な第三者である司法書士が連絡役になることで、相続人同士が過度な負担を感じることなく相続登記を進めることができます。
ただし、司法書士は相続人同士の紛争を解決したり、特定の相続人の代理人としてほかの相続人と交渉したりすることはできない点に注意が必要です。相続登記の前提で相続人間に対立関係が生じてしまった場合には弁護士に依頼することになります。
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